大会を楽しむ方法/ジャッジングを学ぶ

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コロナウィルスの影響でシーズンも早く終わったり、オフトレをスタート出来ない中でスキーの大会を映像を見ている方も多いと思います。

そこで!さらに大会映像を見るのを楽しむために今回は大会のジャッジがどのような基準で行われているかを解説して行きます!

※今回のジャッジはW杯などFISレースで用いられるジャッジ方法なので、X-GAMESやDEW TOURなどとは厳密には違うという事を了承ください◎

ジャッジングシステムの基本=基準点は存在しない

まず、フリースキーのジャッジングシステムが他競技のジャッジングと大きく違う点があります。それは「点数をつけて順位をつける」のではなく「順位に応じて点数をつける」システムになっている点です。

・・・・・🤔??

となった方多いんじゃないでしょうか。


現状のジャジングシステムではスロープスタイル、ハーフパイプ、ビッグエアではモーグルやエアリアルの様に技毎の基準点が設けられていません。

そのため、まずは相対的に選手同士比べて順位を付け、順位に応じた点数を付けています。(点数は100点満点)

下の図を見てもらうとイメージしやすいかと思います◎

どうでしょうか、なんとなくイメージが掴めたのではないかと思います。

よく大会のジャッジング説明ではジャッジから「ポイントに価値はなく順位を大切にしてほしい」と選手やコーチにアナウンスされる場面も多くあります。
あくまでも順位を付け、それに応じた点数を付けているだけなんですね。なのでフリースキーの場合はフィギュアスケートの様に「過去最高得点」という価値観がありません。

ただそうは言ってもビッグエアなんかだと満点が出た事もあり、それは非常に印象深い歴史の1ページだと思います。(=X-GAMESでのボビーブラウンのSWダブルミスティー1440やヘンリックのバタートリプルコーク1620など)

少し話がそれますが、今年のX-GAMESではスロープスタイル、ビッグエア、ハーフパイプともに点数を付けずに滑りに応じて暫定順位のみを表示する方式を取り入れていたのも、根底に ↑ のような考え方があるからだと思います。ただやはり視聴する側として点数(=数字)になっている方が分かりやすい部分もあると思います◎

次の項目ではジャッジが順位をつけるために基準としている要素に触れて行きます。

ジャッジングの5大要素

フリースキーのジャッジはフリースキーヤーの「やばい」や「すごい」といった感覚の部分を透明性をもってジャッジングするために下の5つの要素で判断しています。

各要素の詳細はこんな感じになります。

こんな感じになっています。
現在、どの種目でも「難易度」「完成度」は外す事の出来ない要素になっています。

今の世界のレベルでは誰でも出来る(=その大会で多くの選手が出来る)トリックはそこまで評価されない事が多く、誰でも出来るトリックはグラブやスタイルの変化で武器に変えて行く必要があると思います。

かといって誰も出来ないトリックや新しいトリックを用いても、グラブが取れず空中姿勢が乱れたり、着地が雑になってしまうと「ミス」として評価されてしまうため、順位は一気に下がります(=それに応じて点数も下がります)

あとは競技ごとに強い要素があります。
スロープスタイルでは全要素が必要。
ハーフパイプでは全要素かつ高さで評価が大きく変わります。
ビッグエアでは1本のランで1つしかトリックを行わないのでバリエーションが省かれます。

次はオーバーオールジャッジングとSBSジャッジングを説明します

「オーバーオールジャッジング」

現在取り入れられている多くのジャッジングシステムは「オーバーオールジャッジング」です。
ワールドカップではビッグエア、ハーフパイプはオーバーオールジャッジングのみで行われています。オーバーオール読んで字のごとく、コースを上から下まで滑ったもの全てを先ほどの5つの要素で選手を比べ、順位を付けて行きます。

オーバーオールのメリットとしてはジャッジが少なくて運営が楽な点、なんですが逆にデメリットとしてジャッジ一人一人への負担が半端じゃない点です。たとえばA選手の一本目とE選手の3本目を比べたりしなきゃいけなくなります。
また選手サイドとしても自分の順位に対して不安が出てしまう事が多く、それもオーバーオールのデメリットかと思います。

そこでそんなデメリットを解消するためにここ2年でW杯のスロープスタイルのみに導入されている「SBSジャッジング」です。このジャッジングシステムが今後のワールドカップやオリンピックで主流になって行きます。

「SBSジャッジング」

SBSとはSECTION BY SECTION の頭文字を取っており、平たく言うとセクションごとにジャッジするぜ!という事になります。
「SBSジャッジング」はアイテム毎+コース全体で個別にオーバーオールジャッジを行い順位に応じた点数をつけ、最終的にそれぞれの点数を決められた割合で合算し、最終的な点数の多さで順位をつけるというシステムです。

少し複雑ですが、下の図のような感じになります◎

かなり複雑な感じがしますが、ざっくり言うと、各アイテム毎にどの選手が良かったかわかるように点数を付けて、従来通りコース全体を見るジャッジも同時にやろうよ、って感じですね◎

アイテム毎のジャッジは、先ほど解説した5つの要素のバリエーションの要素がなくなるため(感覚的にはビッグエアに近い)、コース全体を見るジャッジがバリエーションをより評価する必要があるのではないか、という意見が増えてきた印象です。

とは言え、SBSジャッジが導入された大会ではジャッジの負担も減り、選手も自分のランがどのように評価されたかがアイテム単位で確認出来るようになったので、以前にまして大会関係者のストレスは減ったように感じます◎

ただ、ジャッジの人数がオーバーオールジャッジングよりも必要になるようで、ジャッジの人材確保が難しくなったりと新たな問題も出て来ているようです。そのため、多くのFISレース(国際スキー連盟の管理する大会)ではまだまだ「オーバーオールジャッジング」が主流なのが現状です。

最後に

いかがだったでしょうか?
これで今までとは違った視点で大会を楽しむ事が出来るかと思います。
それぞれの選手が5つの要素のどの部分を武器にして大会を戦っているか、なんて目線で大会を観戦してもらえると良いのではないでしょうか?

また、これから世界のコンペシーンで戦いたいと思っているスキーヤーは、自分がどんなスタイルで大会を戦って行くか、どんな戦略で戦うかを考える上でジャッジを知っておく事はマイナスにならないと思います🔥