フリースタイルスキー観戦ガイド/3Dトリック解説

ジャンプトリックで欠かすことの出来ない3Dトリックについて解説していきます。

なかなか複雑なカテゴリーですが、動画とともに感覚を掴んで頂ければと思います。

3Dトリックとは?

3Dトリックとはの3Dとは普段目や耳にする意味と同じで3ディメンション=3次元を指します。

ざっくり言えば「宙返りの要素」と「スピントリック」を組み合わせたものになります。

百聞は一見にしかず、まずは映像をどうぞ◎

フランス代表テスのラン

動画前半のジャンプパートが全て3Dトリックになります。
以前紹介したスピントリックと比べると回転軸が傾いていたり、フラフラしているような印象を受ける方もいるかもしれません。

今回はそんな3Dトリックの中でもメジャーなコーク、バイオ、ミスティー、ロデオを順に紹介して行きます。

コーク

これは以前紹介したダブルコークの時にも触れたほど、3Dでもど真ん中なトリックです。

軸の特徴は「進行方向に対し後方にスピントリックの軸を倒す」事になります、そして縦回転(宙返り)よりスピン回転(横回転)の印象が強いトリックです。

0:18 〜

体操競技のように表現すると「後方一回宙返りに捻りを加えたトリック」になりますが、あくまでスピンが倒れただけなので頭が完全に体の下になる事はありません。

大会ではハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエア共に女子選手の使用率が高いトリックになります。

バイオ

軸の特徴は「進行方向に対し前方にスピントリックの軸を倒す」です。

イメージとしてはコークの反対側の軸と思ってもらうと良いと思います。進行方向前方にスピン軸が傾きます。

0:22〜

女子ではアメリカ代表のマギー・ボイジンがスロープスタイルやビッグエアで使用しているイメージが強く、スロープスタイルでは動画の様にswバイオ9を取り入れる選手が増えて来ている印象です。

男子ではバイオもやはりダブルになり、ダブルバイオ1620(4回転半)やswダブルバイオ1980(5回転)が普通に繰り出されると思います。ダブル系トリックの中では比較的新しいトリックで、持ち技としてもっている選手が比較的すくないため、特にスロープスタイルでは評価を受けやすいトリックの1つになっています。
個人的にはカナダ代表のエドアードのswダブルバイオがおすすめです。

ミスティー

軸の特徴は「進行方向に対し前方に縦回転を入れスピントリックを加える」です、バイオと非常に近しい回転軸ですが、バイオとは違いスピン回転(横回転)より縦回転(宙返り)の印象が強いトリックです。

オーストリア代表ララ・ウルフのスロープスタイルでのラン

0:18〜がswミスティー900になります。
テスのswバイオ900と見比べてもらうと、頭の位置が下がっていて足が大きく上に上がっているのが分かるかと思います。

ミスティーの出番としてはsw=スイッチ(後ろ向き)からトライする選手が多く、男子ではswダブルミスティー で1260(3回転半)以上のトリックの使用率が非常に高くなります。

ロデオ

軸の特徴は「進行方向に対しななめ後方〜横方向に縦回転を入れスピントリックを加える」です、ロデオはななめ後ろに縦回転(宙返り)を強めに回転をかけます。

動画の最初にロデオ540とロデオ360が収録されています、ロデオは縦回転が強くダイナミックな印象のトリックです。

近年の大会のシーンでのロデオの使用率は低く、時折男子スロープスタイルでダブルロデオ900(2回転半)を見るくらいです。ロデオの回転軸が縦回転(宙返り)の要素が強いため、回転数を増やそうとした時に着地への回転調節が難しい事がその背景にあるのではないかと思います。

まとめ

今回紹介した3Dトリックは回転数によっては回転の後半が同じ軌道になるトリックがあったりと、非常に複雑ですが、トリックを見て行く中で徐々に目が追いつていくと思います◎

とは言ったものの、すごく曖昧な回転軸のトリックも多く明確にこのトリックだ!と言い切れない場面が多いのが3Dトリックの特徴です。その辺りはジャッジも厳密にトリック分けておらず、回転軸のおおよその方向と回転数でトリックを判断し、グラブや回転コントロール、着地の完成度で評価をしているのが現状です。

なので、観戦して行く中でお気に入りの3Dトリックを見つけて、ビッグエア、スロープスタイル、ハーフパイプの観戦を楽しんでもらえたらいいかなと思います◎