出来るのレベル
–プロローグ–
まず最初に今回の記事はプロや競技で結果を出して行きたいスキーヤー向けの記事ということを明確にしておきます。さらに言えばより競技者に向けた内容かなと思います。
純粋に趣味としてスキーを楽しんでいる皆さんに対しての内容ではありませんので、ご理解頂ければ幸いです。
とは言えこの記事を読んで不快な気持ちになる方もいると思いますが、自分自身の中で公にした方が良いだろうと長年考えた結果の投稿です。
そしてこの記事を読んだ事で良かったなと思える人が1人でも居たら良いなと思い執筆しました。
この時点で無理そうだと感じた方はそっとページを閉じてくださいね、では本題にどうぞ!
–出来るのレベル–
「出来る」の線引きはどのあたりに引いていますか?どんな状態から「出来る」という判定をしているでしょうか?
僕ら場合は「トリックが出来る」や「あのラインを滑る」なんて使い方が多いと思います。
まずは「出来る」という言葉を調べてみると下記のようになっています。
[動カ上一]《カ変動詞「でく(出来)」の連体形「でくる」から》
1 いままでなかった物事がつくられて存在する。新しく物事が生じる。発生する。出現する。「水たまりが―・きる」「にきびが―・きる」「急用が―・きる」「―・きたことはしかたがない」
2 作物などがつくられる。収穫物が得られる。生産される。「当地では柑橘 (かんきつ) 類が―・きる」「家庭菜園で―・きたトマト」「今年は米がよく―・きた」
3 建物や組織などが新しくつくられる。成り立つ。「ダムが―・きる」「組合が―・きる」「合意が―・きる」
4 まとまったもの、完全なものに、つくりあげられる。仕あがる。「したくが―・きる」「原稿が―・きた
5 材料が…である。作りや構造がそのようである。「木で―・きた橋」「精巧に―・きているおもちゃ」
6 (結果として)そうするように生まれつく。「よくよく損な役まわりをするように―・きている」
7 人格・能力・成績などがすぐれている。「彼は仕事が―・きる」「若いに似合わず人間が―・きている」「よく―・きる生徒」
8 (ひそかに)性的関係を結ぶ。恋愛関係になる。「―・きた仲」「二人は―・きている」
9 それをする能力や可能性がある。「ロシア語が―・きる」「―・きるだけ努力します」
10 (俗に)妊娠する
11 (動作性の意味がある語に付いて、接尾語的に用い)そうする能力や可能性がある。また、そうすることが許される。…しうる。「運転―・きる」「拝観―・きる」「スタート―・きる」「そこへはお通し―・きません」「のんびり―・きる」
12 出てくる。現れる。
−goo国語時点より参照
この中でスキーヤーが良く使用する場合の多くは9番目の意味が該当すると思います。それ(=トリック)をする能力や可能性がある。という感じですね◎
で、この「出来る」ですがどんな状態であれば「出来る」なんでしょうか?
どこから「出来る」に分類可能でしょうか?
プロや競技者であれば、新しいトリックを覚えるために様々なトレーニングを積み重ねていく事は日常的な事だと思います。そしてそんなトレーニングを経て雪上でトライし、着地できればまず「出来た」事になります。
仮にそのトリックがダブルコーク1080だったとして一度着地が出来た後から「俺はダブルコーク1080出来る」と言えるでしょうか?
厳しく聞こえると思いますがはっきり言います、答えはNOです。
ではどこから出来るになるのか?プロや競技者であればそれは他者から認められた場合になります。それはなぜかと言うとプロや競技者としてスキーをしていく限り、他者に評価されないと進めないステージや、獲得出来ない環境が待っているからです。
プロの場合の一歩目としてはスポンサー契約が分かり易いでしょうか。
用具メーカーとの契約であれば用具の提供から始まり、金銭契約や本国契約とステージが上がっていくのが一般的だと思いますが、都度都度そのステージをクリアしていく(=他者に認められて行く)必要があります。
(自らメーカーを立ち上げる場合などは例外ですね)
競技者の場合はジャッジの評価を得ることが出来なければ、表彰台はおろか決勝に進むことすら出来ません。回転軸と回転数、スキーを掴んだだけのグラブ、コケていないだけの着地で高順位(=高得点)を獲得するのは難しいです。(ジャッジングに関しては以前の記事を読んでみてくだいhttp://freeskiheadz.com/2020/05/11/aboutjudging/)
どれだけ自分は出来ていると自己評価をしていても、自己評価が他者からの評価とズレていればズレているほど思うように先に進めないという深みに嵌って行きます。
プロであれば滑る技術はもちろん、近年では商品を宣伝する影響力も重視されていますよね。インスタグラムやTikTok、Youtubeなどを利用したインフルエンサーと言われる形態も認められる1つの形態になっているように感じます。
競技者で言えば、どんなアイテムでもどんな状況でも決められるトリックをトレーニングで身につけておくことが、競技に必要な「出来る」ではないでしょうか。
でもこんな言い方をしてしまうと、プロやオリンピックを目指してスキーを始めたキッズ達には嫌な気持ちにさせてしまいますね。それにそんな子供達を応援する保護者の皆さんにもお叱りを受けるかもしれません。
今まで出来なかったトリックを初めてメイクする瞬間は非常にメモリアルな瞬間で、その都度「このレベルじゃだめだ」なんて言われたらやる気を失ってしまいますからね。それにどんなトリックだっていきなりハイレベルな「出来る」状態にはならない事がほとんどなので、新しいことが出来た事は素直に喜んで楽しむべきだと思います◎
ただそんなキッズ達にひとつ提案があります。
最初に覚えるベーシックなトリックでいいので、そのトリックだけなら今のトッププロやトップアスリートに負けないクオリティーで出来るようにしてみませんか?
高難易度なトリックを数多く習得しなくてはいけないハードな時代なので、「出来た」トリックを増やすトレーニングも当然のように必要になります。ただ、その「出来た」トリックをハイレベルな「出来る」トリックにする時に1つのトリックをハイクオリティーにした経験が必ず活きて来ます。約束します。
そしてこれは自戒の意味も強いですが、プロとして(自分の場合は職業として)スキーをして行くのも滑りはもちろんしっかりと自分の出来るのレベルを上げて行くことが自分の身を助けてくれると考えています。
皆さんの出来るトリックの中に、本当の「出来る」トリックはどれだけありますか?
–エピローグ–
故・野村克也さんの著書で「自己評価ほど無駄なものはない」という内容に触れた事が自分に大きな影響を与えてくれました。影響を受けながら考えた結果が今回の内容になったのですが、最後にカレーに例えてみます笑
1.まずは調理実習で先生の言う通りのレシピで作ってみる。市販のルーを使う。
(=回転軸と回転数どおりに回ってみる、技を構成する要素を学ぶ)
2.素材や肉の種類を変えてみる、まだ市販のルー。
(=基本的な要素は崩さずにいろんなグラブを試してみる)
3.野菜や肉の切り方や火の入れ方や、調理手順をかえて研究する。ルーもスパイスから作成し始める。
(=グラブの形や着地の仕方、テイクオフの仕方や基礎を見直す)
4.人気店のカレーを食べインスピレーションをもらい、さらに研究を進める。
(=自分の出場する大会のレベルに合わせたレベルを想定し他のスキーヤーから刺激をもらう)
5.ハイレベルなお金を取れるレベルのカレーになる。
(=他人から高評価をもらえるハイレベルな「出来る」トリックになる、多くの人がまた見たいと思えるハイクオリティーなトリック)
カレーにした事で分かりにくくなったかもしれませんが、自分の中ではお金になるカレーがしっくり来ています笑
まずは1つのトリックでいいのでお金をもらえるレベルまで熟練させてみませんか?
そして何度も繰り返しになりますが、あくまでプロや競技で結果を出して行きたいスキーヤー向けの投稿ですのであしからず。